映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャスティン・クルック監督「スティーヴ・アオキ I'll sleep when I'm dead」2915本目(KINENOTE未掲載)

面白かった。

真ん中分けの長~い髪と髭のある東洋人顔で筋肉質、ド派手なスウェットのエレクトロ・ハウス・DJ。あまりに風体が異様すぎて気になってました。DJのはずだけどステージでケーキを投げまわしてるだけで音楽を何かやってるようには見えない?パフォーマーなのか?

青木という聞き覚えのある苗字。デヴォン・青木の異母兄弟、つまり、アメリカのあちこちにあるパフォーマンス鉄板レストラン「ベニハナ」のロッキー・青木の息子だ。

(シアトルのベニハナに日本人3人で行ったとき、途中から私たちが日本語で話し始めたらパフォーミング・シェフがダンシング・クッキングをやめて普通に焼き始めたのがおかしかった「…日本の方ですか?(静かに焼きながら」)

このドキュメンタリーの何割かはその父、偉大なる冒険精神であらゆる危険なスポーツに挑戦しつづけたロッキー青木を扱っています。だって面白いもん。

そしてこの異様な風体の息子は、派手で濃くて謎だけど、なかなか真面目で純粋な男のようです。いわゆる育ちの良さ、無邪気さ、純真さがあります。話してる雰囲気は拍子抜けするくらい「素」。父を尊敬すると億面もなく言い続け、亡くなると何もできなくなるくらい大泣きする。元々ハードコアメタルのボーカリストがスタートだったんだな。19歳でレーベルを作って、今も「DJキュレーター」、「レーベルオーナー」と自分のことを考えてる。レコードを操作する技能じゃなくて彼のパッションにその場にいる人もいない人も影響されてしまうんだな。面白いなぁ。

で、イビザ島にプライベートジェットで通うんだ。そこに自分のクラブを建てて夜な夜な盛り上げる。

私はもしかしたら仲良くならないタイプかもしれない(圧に押されて)けど、彼のことが好きな人は好きだな。彼を含む無邪気でエネルギッシュでやけに素直な人たちに、もっともっと力いっぱい遊んでいてほしい。