映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

エチエンヌ・デロジェ監督「鏡」2917本目(KINENOTE未掲載)

タルコフスキーじゃないよ、グザヴィエ・ドランが13歳のときに出演した短編映画。お試し中のU-Nextで見ました。

「マイ・マザー」の頃の彼と比べて明らかに身体が小さいんだけど、表情とか雰囲気は意外と変わらない。もっと中性的かと思ったらすでに男の子だけど、その一方で顔立ちの幼さ、少女みたいな可愛らしさは19歳のときと同じ。なんとなく、彼の精神的な部分はすでにずいぶん成長してたんじゃないかな、と思うような、大人のような表情を見せるんですよね。

彼が、エルヴェという名の、近くに住む少し年上の美少年にときめきを感じる場面があります。まるで「マティアス&マキシム」や、ペドロ・アルモドバル「ペイン・アンド・グローリー」みたいな、大人への目覚め。

わずか10数分の小品だけど、彼のその後の作品の陰と陽のうち「陽」だけ切り取ったような作品でした。