この作品は、90年代に働いてた会社のゲイの同僚の話に出てきた記憶があります。ドラアグ・クイーンが出てくる映画って意外と何本も見てるけど、この映画はどういうアプローチなんだろう。
ていうかクイーンたち、テレンス・スタンプとヒューゴ・ウィーヴィングとガイ・ピアースじゃないですか。またずいぶん男らしい人たち。草彅剛がミッドナイト・スワンに出るような状態かな。多分リアリティという意味では本物のドラアグ・クイーンにかなわないけど、この意外性と、ふしぎと彼らの中にも女性性が潜んでいたんじゃないかと思わせる演技が見ごたえあります。これもまた演技力のたまもの、良い役者マジック。
本当に3人とも生き生きと演じてて素敵なのですが、中でもこのとき55歳のテレンス・スタンプの達観したような不思議な美しさから目が離せません。ステージでは二人に比べてあまり乗り切れず、ダンスもパフォーマンスもちょっと中途半端かな…(というか二人は本物じゃないかというくらいノリノリ)最近はミステリー映画の厳格な老刑事とか演じてることが多いけど、あえてその年齢での「元ドラアグ・クイーン」演技も見てみたいなぁ。
彼女たちをオーストラリアの砂漠のど真ん中にもってきたのがまた、愉快。ハリウッド近辺の北米の砂漠とも違うエキゾチックな荒野が美しいです。
この作品って舞台化されたんだな、そういえば日本の舞台の宣伝を見たのを思い出しました。それにしても衣装が奇抜ですごい。ギャグ寸前。それも含めてすごくポジティブでハッピーな気持ちになる作品でした。うまく説明できないこの多幸感…。