映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

トーマス・アルフレッドソン 監督「ぼくのエリ 200歳の少女」2929本目

バンパイアといえば最近「ポーの一族」づいてて、マンガを通しで読んだり宝塚の舞台のBlu-rayまで見たりしてますが、これもまたその一つ。プラチナブロンドの真っ白な子ども、雪のなかの水色の車…北欧らしい映像の世界。この子がバンパイアかと思ったらこっちは「ぼく」で、エリは目鼻立ちがはっきりした黒髪のエキゾチックな少女でした。

このバンパイアは、獲物に飛び掛かって血を絞りつくして殺すのが手順のようで、増殖はしないのかな…。と思ってたら、襲う途中で阻止された女性だけは変化を始めていました。猫たちがすごい勢いで興奮して嚙みついてきたところはびっくりしたけど、彼女はその後自分で自分の運命を決断します…。

 エリとその父親のような人がどこからどのようにやって来たのか、どこかに仲間がいるのか、といったことは何も語られないので、「ポーの一族」の1エピソードみたいな感じなんだけど、北欧特有の風景や、いじめられっ子の少年と孤独なエリの深い友情の描写が繊細な美しい映画でした。

ぼくのエリ 200歳の少女 (字幕版)