映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・ヒューストン監督「黄金」2942本目

<ネタバレあります>

ボギーって都会派の探偵とかじゃなかったの?金鉱堀りもやるんだ。

しかも、悪役の中でも心のひねこびた欲深く疑い深い男です。山へ入る前は、給料未払いのボスを襲ったときも、払われるはずだった金額だけを抜いてあとは戻す、律儀な男だったのに、黄金に目がくらんだのだ!原題「シエラ・マドレの財宝」より象徴的な邦題「黄金」のほうがいいですね。

ボギーって元々ちっとも良さがわからないのですが、ニヒルな二枚目よりこの汚れ役のほうが、人間って複雑だなーと感じられて、役者としてこっちの方が好きです。

とか偉そうなことを言ってる私は、最初から3人のうち誰が悪党なんだろうと疑って見てしまって、ボギーと同じような疑心暗鬼でした。パパ・ヒューストンまで「元締めだから俺が5割もらう」って言うかなとか、あの若いのが全部盗むんじゃないかとか。

それにしても、ここメキシコですよね。アメリカ人がほいほいやってきて勝手に金を掘って持っていくってひどくないですか…出稼ぎに来ないよう国境封鎖して、超えてくる人を撃つとか言ってた大統領がいたけど、まずこういう蛮行を謝れとか思います。。

それにしてもパパ・ヒューストン最高ですね。(スペイン語めっちゃうまいな)ボギーが裏切ったところでこの映画における善悪がはっきりして、その後は安心して見られました。。最後の大笑いときたら!

人の目をくらませる黄金やビットコインやFXは、ふたを開けてみたら砂のように手の間を流れ落ちてしまうものなのさ、生きててよかった…ってことで。