昔「ひとりジェラール・フィリップ特集」をやったときに見たけど、この間宝塚版を見たので改めて比較のために見てみます。今度はデジタル・リマスター版。
完全無欠の王子様キャラが実在した!と初めて見たときに驚きましたが、今は同じくらいパフスリーブの似合うティモシー・シャラメがいますからね。いずれアヤメかカキツバタ、少女マンガや宝塚に親和性が高い二人。
(無料期間がまだ1週間残ってるのにもう36本目)
記憶通り、ジュリヤン(発音は「ジュリアン」より「ジュリヤン」が近いですね)は最初から野心家で計算高い。宝塚版(ジュリアンを玉城りょう、レナール夫人を美園さくら)は昔からやってるそうですが、これほど主役が悪人なのに清く正しい宝塚でやっていいのか?と思ったくらい悪い男。宝塚版では、かなり原作や映画に忠実な内容なのに、美しく繊細なジュリアンになんとなく共感する部分があったのが不思議だなと感じ、改めて見たジェラール・フィリップ版でも今回は不思議と、彼の「悪さ」が人間らしさと同義にも思えてくるのでした。
3時間もあるけど、展開は早く、絞首台を前にした彼の半生を走馬灯のようにおさらいしているようで退屈しませんでした。僧衣にも軍服にもなりきれず、自分の野心に翻弄されながら女たちを愛した…。これが貴族だったら普通だったんでしょうね。
この不思議な納得感、これが名作たるゆえんなんだろうなぁ。