映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

土井裕泰 監督「罪の声」2949本目

<ネタバレあります>

”連休直前、キネ旬ベストテン入りした日本映画を見まくる特集”でもやってるつもりか、私は。

この作品はパッと見、私が苦手なテレビドラマの映画化作品に見えるけど、なんかの記事ですごく面白そうだなと思ってました。

1984~85年の「グリコ森永事件」を「ギンガ萬堂事件」としたのか(違和感あるけどそのうち慣れるだろう)。意外と新しい。私もうその頃上京して大学に行ってるもんな。…てことはバブル景気真っ最中。株価操作と結びつけたのはなるほどです。「ロンドンでいくらでも偽名の口座を作れた」、今でいう電話詐欺みたいな、インテリやくざの考えそうな犯罪だ。犯罪に、子どもの頃とはいえ自分の声が使われたと知るショックは大きいだろうし、掴みは完璧ですね。

でも星野源はテレビのバラエティで自分の声が流れるのを聞かなかったんだろうか。彼の母が結婚した相手がたまたま、昔一緒に学生運動をした仲間っつうのは工夫がなさすぎないか。前半の緊迫感が、ロンドンに飛んだあたりでピークに達してから一気にふぁんふぁんと途切れてしまうなぁ。

新聞記者が、犯人の生き残りに向かって吐き出すように「あなたが子どもたちを殺した」というのは気持ちいいんだろうか。せめて「あなたたち」じゃないのかな。とっくに時効、逃げ続けた男の父親を殺したやつもとっくに死んでいる。少なくとも彼は子どもたちを助けようとしたんだけどね。海外に飛んでも学生運動時代を思うのは確かに「化石」だけど。当たりやすい相手に当たってスッキリするのは、教育的に間違ってるから、ほんとやめてほしい(←八つ当たりされやすいタイプ)

罪の声

罪の声

  • 発売日: 2021/04/23
  • メディア: Prime Video