映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヴィム・ヴェンダース監督「666号室」2983本目

これもまた珍しい作品。1982年5月のカンヌでヴィム・ヴェンダース監督が他の映画監督に行ったインタビュー集ですって。今は亡き監督も多く、なんかすごく貴重なものを見せてもらうかんじです。(作品名といい、オープニングの暗い音楽といい、「シャイニング」のファンビデオでもメイキングだっけ?と思ってしまう)

しかし、さらっと見てしまうと、誰が誰だかわからなくなる(テロップがまったくない!)ので、登場順に名前が出るオープニングタイトルからメモっておくと以下の通り。(手間かかる映画だな):

ジャン=リュック・ゴダール、ポール・モリセイ(私は「処女の生血」しか見たことない。彼はわりとテレビ派)、マイク・デ・レオン(フィリピンの監督らしい)、モンテ・ヘルマン(レザボア・ドッグスのプロデューサー)、ロマン・グーピル(フランスの監督)、スーザン・シーデルマン(「マドンナのスーザンを探して」の監督)、ノエル・シムソロ(KINENOTEにはデータがないけど、フランスの監督)、ライナー・ヴェルナー・ファスビンター(急に音楽が暗くなる…撮影の翌月に死亡)、ヴェルナー・ヘルツォーク(クラウス・キンスキーは1991年に亡くなってるけどこの監督は健在。なんとなく健全な感じのする人だなぁ)、ロバート・クレイマー(ヴェンダース監督の「ことの次第」の脚本家)、アナ・カロリーナ(毎日辞めようかと思うと語って、実際映画界から消えたようだ)、マルーン・バグダディ(レバノンの監督)、スティーブン・スピルバーグ(若いけど「インディ・ジョーンズ」や「ET」後。映画の未来をハリウッドで一番楽観視してると語る。さすが!)、ミケランジェロ・アントニオーニ(「情事」しか見てないや。彼は立ち上がって力説)、ユルマズ・ギュネイ(トルコの監督。録音テープで登場。この2年後に没。「路」ずっと見たいのにまだ見られてない)。いっぱい話したのはゴダールとスピルバーグとアントニオーニで、後の人たちは一言二言だけだ。

対面インタビューでなく、部屋にカメラを置いといて各監督に好きに語らせてる形式で、名前が出ないだけでなく設問も不明。テレビと映画の対比、制作本数が減っていることへのこめんと、ビデオソフト化について、「映画は死に瀕した芸術家」などをどうやら聞いてるらしい。そこからもう40年近く経ってこのシネコンブーム、VOD大躍進、この映像自体をU-NEXTで見られるという事実を知っていると、「とりあえず心配いらんよ、みんな」と言ってあげたくなります。