映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

牧原亮太郎 監督「屍者の帝国」2988本目

フランケンシュタインだから、ゾンビじゃなくて「屍者」なんだ、今回のテーマは。面白そうじゃないですか。絵も美しいし、嫌いじゃないなぁ、この世界。設定がグッときますよね、伊藤計劃の作品は。わずか2.5長編しか残さなかったけど、これハリウッドでCG実写リメイクしてもいいと思うし、名作は使いまわされて長く愛されるはず。

しかし登場人物の名前があからさまですごいな。主役がDr.ワトソン、彼が蘇らせた美少年がフライデー、フランケンシュタイン博士、アレクセイ・カラマーゾフ(「カラマーゾフの兄弟」の主役の名前)とクラソートキン(同じく主役の親友)。主役級の名前をポンポン使うのは、日本ではそれほど外国の名著を誰でも読んでるわけじゃないから、それほどあからさますぎない、って判断かな。「インセプション」でクリストファー・ノーランがアリアドネと名付けた女の子はギリシャ神話の迷宮の中で英雄を導いた女神の名前、みたいな話もあるので、まあいっか。

死んだような眼をした(屍者だから)フライデーの、フラフラしたキャラクターが面白くてだんだん可愛くなってきます。これは映像だからこその楽しみですね。

しかし、面白いのになんとなく見てる自分が中だるみしてしまうのは、アニメだと緩急の「緩」がわかりにくくて、ずっと緊張してると途中で疲れてしまうからかなー。

最後なんかBLみたいだったけど、フライデー君がやっぱり最高だったな。。。