映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フランソワ・トリュフォー監督「華氏451」3023本目

U-NEXTでリメイクが公開されたり、「100分de名著」で取り上げられたりしたばかりなので、見てる人も多いかな。「~名著」講師が番組で「映画が素晴らしかったので研究を始めたが、読んでみたら原作より映画の方がよかった」とぶっちゃけトークをしてたくらいで、この作品の結末ほんと好き。まるで秘密結社とか無縁な森の人たち。私だったら何て名乗りたいかな…

彼らの出会いは、原作では夜遅く屋外だけど、この映画では空中を走るモノレールの中。何もない田舎に未来施設がぽつんとあるような。(このモノレール実物だよな。ググったらイギリスには懸垂式モノレールは存在しないようだ。探しても見つからなかったので試験路線かなと思ったら、この映画のWikipediaの解説に書いてあった。フランスの)

ジュリー・クリスティってもっと女っぽいイメージを持ってたけど、割とごつい。(好きだけど、特に今の彼女)

本の家の中で自分で点火する老婦人とか、おおむね原作に沿ってる気もするけど、クラシスはこの映画では学校の先生で大人なのが違うな。とはいえ、この作品で「人間らしさ」を象徴してるのが彼女であることは間違いなく、映画「マイ・ブックショップ」で町の小さな書店を独力で維持しようとする主人公の女性は「華氏451」のクラリスのような女性だから、彼女の老後の姿を今のグレイヘアのジュリー・クリスティが一瞬だけ演じたんだろうな(全編のナレーションも彼女)。

イギリスのなかで、そうやって本や人間らしさをいとおしむことが、脈々と受け継がれていることが何より素敵なのでした。 

華氏451 (字幕版)

華氏451 (字幕版)

  • ジュリー・クリスティ
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