映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アダム・リフキン監督「ラスト・ムービースター」3080本目

いい映画だった。「巨匠の晩年の作品」感(達観したような透明感)があるけど、ここでいう巨匠は主演のバート・レイノルズ。

ナッシュビルの映画マニアたちが勝手に始めた「プチ映画祭」に、かつての名優が招待されて、何も知らずにうっかり出かけてしまう。…めちゃくちゃこじんまりしてるけど、ツイン・ピークスのファンミーティングの写真とか見ても街道沿いのダイナーだったし(そこが作品の舞台って事情はあるにしても)、湯布院映画祭とか同じような規模で始めたものなんじゃないか?自分の昔の映画を何度も何度も見て、細かい台詞まで覚えてるようなファンに会うのはまあまあ悪い気しないんじゃないかな?

紅髪で鼻ピアスの不良娘もいいですね。ある意味ステレオタイプなんだけど、可愛いげがあって、生意気だけど情に厚い。やけにハイトーンでまくしたてるナッシュビルの映画オタクたち、憎めない!(コーエン兄弟とか彼らの映画に出てくる人たちを思い出す)

私が「アメリカの田舎って嫌いじゃないかも」って思う映画の典型でもあります。(「アリスの恋」とか)

まだ私は主人公の年齢からは遠いけど、50代でも共感するんだから、KINENOTEの私より年上のみなさんは、しんみりする人も多いんじゃないかしら。いつか寿命がきたら、傷つけた人たちや好きだった人たちのところを一人ひとり回って「ごめんね。ありがとう」って言って歩きたい気がします。それで全部チャラにしてくれよ!(大して悪いこともしてないと思うけど)