映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

「巨大製薬会社の陰謀(前・後編)」3086-7本目(KINENOTE未登録)

HBO制作のドキュメンタリーをU-NEXTが提供してるのを見てみた。原題は「The Crime of the Century」。この邦題はミスリーディングだな。私たちが知っているような(知らないとしても)世界的な巨大製薬会社が陰謀をはかったのではなくて、悪人一族が麻薬でもうけるために既存の製薬業界の仕組みを利用して製薬会社を作った、という話だった。

(ドイツ系のメルクが痛み止めとしてモルヒネを、バイエルがヘロインを咳止めとして発売したことが最初に紹介されてエグイ話だと思ったけど、彼らが薬物を不正な方法で売って儲けたという話は一切出てこなかった)

アメリカは自由の国だから、ゆるい規制の中からどんどん革新的なベンチャー企業が台頭する。その隙間を縫って悪党が製薬会社を作って麻薬で儲ける。自由の国だから政治献金もばんばんできて、自分たちの利益のために議員たちは立法する。

日本は不自由の国だから、革新的なベンチャー企業は生まれにくいけど、麻薬を売るための会社を作って儲けるのは難しい。これだけは日本でよかったと思った。

でも本当に、自分の国全体を麻薬漬けにして自分の一族だけが繫栄すればいいって、どういう人格だったら思えるんだろう。