映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フィリップ・カウフマン監督「ライト・スタッフ」3104本目

なにも知らずに映画を見るのはラッキーだ。この映画は、最初は空軍パイロットの映画かぁ、そんなに面白いもんかな、と思ってたので、途中からマーキュリー計画が立ち上がってNASAのロゴが出てきたりしたあたりから急にテンションが上がってきました。不思議ですね。

空軍で高速を目指すパイロットの事故率が「4回に1回は落ちる」ってのはすごいと思うけど、宇宙飛行士のような危険な仕事を誰がやるんだろうと思っていたら、それより事故率が高いかもしれない業務にすでに従事してた人たちの中から選ばれたと聞いて、みょうに納得してしまいました。初期の飛行機の話は、「華麗なるヒコーキ野郎」とかいくつも映画化されてるように、相当の数のいのち知らずの人たちの犠牲によって発展してきたわけで、宇宙ロケットも同様。自分が「犠牲になる」んじゃなくて、「ヒーローになってみせる」ために命を賭けるというメンタリティはアメリカ的に感じられます。

今はもう、大富豪であれば一般人でも(大富豪は一般人じゃないっていう話は置いといて)宇宙旅行に行けるすごい時代だ。今は命知らずのアメリカ人たちは何に挑戦してるんだろう?

コロナ禍で買い物にすら出かけずウツウツとなってるけど、この映画を見たおかげで、11年前にケネディ宇宙センターにスペースシャトル打ち上げを見に行ったときの気分がよみがえった。たまたま事前に読んだ「ライディング・ロケット」という手記の著者の宇宙飛行士がセンターでサイン会をやってた。著者の父親(元軍人)が「damn Jap」とか言うのを忌憚なくそのまま訳してある抱腹絶倒な(皮肉じゃなく)本で、はるばる日本から来た女が頬を紅潮させて「本読みました!サインお願いします!」って言うのを微妙な顔をしながらサインしてくれたっけ…。

改めてサインを見たら、「Dream big!」と書いてあった。シャトル結局打ち上がらなかったけど、あちこち見学したり、敷地内の川にワニを見つけたり、ディズニーワールドに行って「キャプテンEO」見たりして楽しかった。元気だったな私。

宇宙にエネルギーがあるのか、宇宙を夢みる人間の思いがパワーになるのか。いくつになってもDream bigは大事だ。映画と関係ない自分のことばかり書いてしまったけど、いい映画はいろんなことを思い出させてくれるのです…。 

ライトスタッフ (字幕版)

ライトスタッフ (字幕版)

  • サム・シェパード
Amazon