映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

トム・ティクヴァ&ウォシャウォスキー姉弟監督「クラウド アトラス」3105本目

前に見たとき、複雑な構成(イントレランス方式)で失敗してるなーと思った記憶もありますが、けっこう好きだった。VODで心置きなく早回しや巻き戻しをしながら、通しで2回見ました。そしたらさらによかったです。愛と平等と闘争と生まれ変わりの、壮大な神話みたいなお話でした。で、何度も巻き戻したりする必要はなかった。改めて見てみると、それほど複雑でもなかった。最初に見たときは「これほど複雑にして、何度も何度も同じ人たちを出す必要なんて、ないんじゃないか?」と思ったけど、何度生まれ変わっても人は判断を間違えるし、完全に思いを遂げられなかったりするから人間なんだ、という思いが、この構成のおかげで強く感じられたんじゃないかな。

何度も失敗しながら、最後に正しい決断ができる人もいれば、ずっと悪役のエージェント・スミスじゃなかったヒューゴ・ウィーヴィングもいる(彼の悪役っぷりは見ていて幸せな気持ちになるくらいだ)。

愛があってもいつか滅びる。思いが強くても遂げられないこともある。でもまたどこかで会えるかもしれない。

改めて見直してみて、かなり自分の中で点数が上がりました。この映画好きです。ウォシャウスキー姉妹でもトム・ティクヴァでもいいから、何か新作見せてほしいなー。

(あとで思った。これって因果応報が生まれ変わりによって持ち越される復讐の物語だから、インドの聖典「マハーバーラタ」だな、と思って、まさか既にこの2作品を結び付けた書いたものなんかあるかいなと思ってググってみたら「非線形の語り口」という切り口で書いたものがいくつかあった。内容も近いと思うんだけどな~)