映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・ギラーミン 監督「ナイル殺人事件」3117本目

アガサ・クリスティ原作の映画をこのところまとめて見てて、これも数十年ぶりに見ます。

「ミステリ~ナ~ハァ~イル」っていうサンディの歌があったけど、あれはこの映画のプロモーションだっけな。ジュディ・オングの「魅せられて」も映画のCMだったっけ。「エーゲ海に捧ぐ」も見てみたい気がしてあちこち探してみたけど、どこにもないな。見る機会あるんだろうか。

さて。ミア・ファローお嬢さんにジェーン・バーキンがメイド、ベティ・デイヴィスは超貫禄、マギー・スミスはまだ「女史」キャラです。

エジプトのピラミッドの周囲を馬で駆ける二人、ピラミッドの影から飛び出してきて、ツアーガイドばりに名跡の解説を始めるミア・ファロー。ツアーでそこそこ簡単に行ける日が来るとは(そして観光客だらけで、町から見えるほど近いとは)、この映画の頃は夢にも思わなかったな…。兼高かおるの時代。

巨大な石柱の並ぶルクソールのカルナック神殿で、さまざまな方向から人々が行きかう場面、スリリングでカッコよくて素晴らしいですね~。本物の神殿で撮影したとしか思えないけど、誰かが昇って本当に石のようなものを落としたんだろうか。世界遺産損壊…?と思ったら認定されたのはこの映画の公開翌年、1979年でした。滑り込みセーフ!観光客であふれるようになったのは、それ以降なのかもしれないですね。世界遺産認定前の名所旧跡が見られるのも、昔の映画のだいご味のひとつ。

この作品は、見てるうちに犯人を思い出してしまった。トリックの部分も、場面ごと頭に入ってました。クリスティの作品は動機とか人間心理がすごく繊細だけど、トリックは複雑ではないので、密室トリックみたいな”本格ミステリ”を求める人には響かないかもしれないけど、面白かったです。ちょうど100年くらい前にクリスティが辿った、ヨーロッパからの観光旅行を追体験できたし…。

ナイル殺人事件

ナイル殺人事件

  • ピーター・ユスティノフ
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