ビートたけしが立ちすくむビジュアルを見ると、やくざ映画かなーたくさん人が死ぬのかなーと思うけど、実話だし家族の物語なので、暴力は多いけど殺人は(あまり)起こりません。どこの国のどの下町にもいてもおかしくない、荒くれものの物語。家族は辛いよな。でも振り回し、振り回されるのが生きるってことなんだろうか。引きこもって一人で生きることと、だいぶ違う「生」って気がする。
新井浩文って正体がわからない感じがするけど、ひょうひょうと悪いことをする役とか迫力あった。映画の世界には、いい人も悪い人もいてもいいと、ぼんやり思ってる。鈴木京香はずいぶんヒドイ目に合う役だけど、おばちゃんパーマもそれなりに似合う。
”極悪非道”な父を中心に描いてるけど、周囲の人たちも荒れている。女性たち、子どもたちを傷つけてるのは彼だけじゃない。これは半島の人たちだけのことではなくて、弱い者は弱い者をいじめるのだ。「いじめをなくそう」「けんかをやめよう」がどんどん空しく聞こえてきて、もっと深く考えたり、逃げ場を作ることしかできない気がしてる。
人は、身近なことや外のことに傷つけられて家族や近くにいる人をいじめ、家族が結婚しても、死んでも、集まって飲む。自分の家族への思いが「血と骨」というタイトルに込められていると思うけど、見る方としては、この映画の中で起こっていることは、世界中のあちこちで起こっていることだから、血縁や民族にせばめないで普遍的なものとして見たいなと思っています。