映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ブライアン・デ・パルマ監督「ミッドナイト・クロス」3142本目

原題は「Blow out」。邦題もわざわざ英語だけど、なんとなく邦題のほうが魅力的な映画に見える。タイトル付ける人ってほんと大変だな…

<結末にふれています>

ジョン・トラボルタは、「サタデー・ナイト・フィーバー」と「パルプ・フィクション」のちょうど真ん中くらいの年代にこの作品に出ています。ブライアン・デ・パルマ監督の目の付け所。

感想ですが、なかなか映画の裏方の性(さが)を描いていてマニアックですね。本物の最後の叫びを「サイコ」のリメイクっぽい映画に使ってしまうとは…。犯人捕まってないし、ジョン・トラボルタは自分の仕事を優先して犯罪捜査に手を貸すのを止めたか。

音声収集に出ていたら、偶然録音してしまった事故?犯罪?の現場。爆発音の時点で起こっていたことはパンクなのか、銃声なのか。という調査は、日本の刑事ドラマとかでよくあるけど、わりとスリリング。地下鉄のホームで偶然作業していた清掃員のおかげで命拾いした強運のヒロインだけど、最後は…。その現場、花火の上がる広場で、建物の屋上で起こる犯罪は聞いている人はいても見ている人はいない。ブライアン・デ・パルマ監督の作品は、スリリングで美しい場面をちりばめるのがうまい。ドキドキしながら見ている観客の気持ちを知り尽くしているようで、名作ではないかもしれないけどとっても面白かった。この魅力、説明するの難しいな…。