映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジロ・ポンテコルヴォ 監督「アルジェの戦い」3149本目

昔のイタリア映画ばかり見てるけど深い理由はなく、U-NEXTの「9月末で終了する作品」だから。しかしこの映画の舞台は仏領アルジェリアの独立への戦いを描いたもので、言語はフランス語だけどフランス資本で作られることはない映画。この映画にイタリアが出資するってことは、隣国間の関係は推して知るべし。第二次大戦でも敵国ですもんね。

若い女性3人による爆弾テロの場面があります。着飾ってチャーミングな3人が、それぞれバーやカフェに素敵なバッグにしのばせた爆弾を置いて出てくると、それらが大きな被害をもたらします。この頃は自爆テロではないけど、その部分を除けば現在頻発している爆弾テロと変わりません。植民地を大きな顔でのし歩くフランス人と、虐げられる現地の人たち。ローマ帝国やナポレオンの時代も、もっと昔も、近隣諸国を侵略しては隷属させてきた人たちは、ヨーロッパだけじゃなくて互いに侵略しあってきた土地も多いけど、兵器の開発力、その背後にある財力や政治力で世界の覇権が決まりすぎてる気がするし、”どんな人だってまあまあ自由に、やりたいようにして生きていられる世界”が遠ざかっているように思います。

この映画は、今では考えられないかもしれないけど、欧米に属する国が主導して、欧米から見た異教徒である先住の人たちの立場に立って、彼らの姿を生き生きと描いた貴重な作品だと思いました。

アルジェの戦い(字幕版)