映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ピエール・デュシャン監督「ノーマ、世界を変える料理」 3170本目

日本で期間限定レストランをやったドキュメンタリーを見たので、これも見たくなりました。お父さんがマケドニアから移住してきたアルバニア系イスラム教徒なんですか。名前でも見た目でも北欧の人かと思ってた。この作品では差別を受けながら育ったことも語っています。今の成功にはいろんなものがベースにあったのね…。

料理人のドキュメンタリーも見るの好きだな。この間久々に、成り行きで懐石料理を食べたら、なんとなく、舌が鈍ったなと感じたのは(※コロナじゃないです)、前ほどいいものを食べなくなったし、家で適当な味付けしかしてないからかも。丁寧に作られたおいしいもの、たまには食べたいもんです。

さて、この映画ですが、日本に来た際のエピソードはお祭りみたいなものだったけど、後になって1位からの転落とかノロウィルスの事件とかを知ったのは、順番として良かったと思います。世界一のレストランって何が一番なんだろう。同じものを作ってシェフ対決をしてるわけじゃないのに、客観的な基準のない1位って。(オリンピック以外のあらゆるランキングは同じようなものかもしれないけど)

現地のノーマの予算は2万円くらいらしい。出張レストランはやっぱり高いんだな。ノーマがもし私の家からすごく近かったら、一生に一度くらいは思い切って予約を入れてみたい気がする。アリとか木のオイルとか、どんな味なんだろう、どんな風に美味しくするんだろう、でもやっぱり、「世界一」でなければ一生行かないままだと思う。そういうのが世界一という価値なのかな…。お邪魔にしかならない客かもしれないけど、もしデンマークの普通のおばちゃんが着飾って一生一度のごちそうを食べに来たら、ぜひ優しく迎えてあげてほしい気がします。