映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ラーフル・ジャイン 監督「人間機械」3174本目

インドの工場労働の実態を撮ったドキュメンタリー。タイトルが気になって見てみました。原題「Machines」には、働いている人間も機械みたいだ、という意図が込められていると思うので、ドキッとするような邦題は実はほぼ直訳かも。

染色工場で働いている人たちは、農家で、不作のために植えてみた作物も不作、やむを得ず現金収入のために働きに来ている。1日12時間労働はきついし、賃金も安い気がするけど、法律も他の業者のことも知らないからそのまま働いている。

作り手による演出を極力排除した映像のおかげで、同情や怒りをあまり感じないで、冷静な目で見られるんだけど、逆にその場に自分がいたら一緒に黙々と働いてしまうだろうなと、その場への共感を感じそうになる。

彼らがやっているような農業は天候に左右されるから、予測がつきにくい。計画通り働けば計画通りの収入が得られる工場労働は安定はしている。どこにも正解はないし、黙々と画面を見ているだけ。

だけど見て良かったと思います。