映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジェド・ロススタイン監督「WeWork / 470億ドル企業を崩落させた男」3188本目(KINENOTE未掲載)

WeWorkの評判や、ソフトバンクがなぜか出資してしまった話は見たことがあったけど、このドキュメンタリーでやっと状況が理解できました。アダム・ニューマンなぁ…ITというかアメリカのベンチャー界のビッグマウスとしてスティーブ・ジョブズ、イーロン・マスクに次ぐ巨頭だなぁ。私が血と汗と涙を流して稼いだお金は、こういう会社には投資したくないわ。

同列に語ると怒る人も多いと思うけど、ジョブズも一度はアップルから放逐された男だ。ビジョナリーはビジョンを語るのが役割で、それを実現させる超絶に優秀なスタッフたちがいない限り、ただのビッグマウスで終わる可能性が高い。中でもイーロン・マスクは宇宙に至る巨大なビジョンを語るけど、アダムのWeWorkは「シェアオフィス」の一言で終わってしまう、小さすぎるビジョンだ。どうすれば、そんな単純なことが客観的に見られなくなっちゃうのか?

シェアコミュニティ…そういうものの一員として楽しくやっていける人が、まぶしくも思える。この映画の中にもたくさん出てくる、生き生きしてフレンドリーな若者たち。私は古いのかなぁ。

もっと小さいコミュニティでも、さらに大きいコミュニティでも、同様のことは起こり続けるんだろう、これからも。