映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジェレミー・ソルニエ監督ほか「トゥルー・ディテクティブ 3rdシーズン」3217本目<KINENOTE未掲載>

マハーシャラ・アリ(あの「グリーン・ブック」の!)のクールなたたずまいがすごく良いシリーズ3。アリ演じる切れ者刑事ウェインの、事件直後、10年後、そして老いて認知症が現れ始めた状況を描いているのがまた新鮮で、誘い込まれます。つまりその事件は迷宮入りしている。発生時に解決したかと思われたけど、解決してなかった。ウェインは事件後第一線を外され、当時の相棒ローランドとはもう連絡も絶たれている。

事件の10年後には再捜査が行われたけど、現在は「迷宮入り事件を追う」みたいな若い金髪の女性ジャーナリストがウェインをやんわりと責め立てる。

第5話の、老人になったウェインとローランドの再会の場面、よかったなぁ。「お前がしたことを忘れたとでもいうのか」「すまない…覚えていないんだ…何も…だけどすまなかった、何を言ったとしても、謝る」という和解。

このシリーズのすごいところは、正義のごり押しという悪を開いて見せてくれるところだよな…。最近見た邦画の「由宇子の天秤」ではジャーナリストの欺瞞を見せてくれた、この映画では警察の正義の裏にある悪を見せてくれた。

シリーズ1でも最終回のオチは昨今の映画の世界からみて、ちょっと物足りないんだけど、見せるね~。ドキドキしながら通しで見てしまう強い魅力のある作品でした。シリーズ4は作るのかな…楽しみだな…。