映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

行定勲監督「ピンクとグレー」3227本目

これと原作者が同じ「オルタネート」を読んだばかり。仕掛けを作る志向の人なのかな。「オルタネート」ではSNSを介して盛り上がるゲイのカップルや、お料理コンテスト、AIによる遺伝子マッチングなどを盛り込んでた。この作品では、幼なじみのトップスターの突然の自殺を本に書いた売れない役者が、自殺した彼の役で映画に主演して、一躍「時の人」になる…という仕掛けを設けています。

切なく美しい物語が、途中から”ネタバレモード”に。夏帆のいい壊れっぷり、柳楽優弥の貫禄が良いです。中島裕翔はきれいで整っていて、壊れたときの破壊力がちょっと弱い気がする。

死神が好むタイプってあって、柳楽優弥や彼のリアルお姉さんはタイプじゃない気がする、めちゃくちゃ感覚的な話をしてるけど。会話しながらふっと宙を見るような人が連れて行かれる。だからリアリティのない、まあまあ面白いお話っていう感じだった。やたら人が死ぬ話を若い人は書いてしまう(どこかその必然性があるんだと思う)けど、原作者は「オルタネート」で世界を広げてるなと思うので、今後も期待したいと思います。