映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ケン・ローチ監督「ジミー、野を駆ける伝説」3231本目

「ジミーのホール」がどうして「野を駆ける伝説」になるんだろう。ちょっと映画の雰囲気と違っていて、むしろ日本人がアイルランドに求めるイメージにおもねたようなタイトルじゃないか?いいけど。

カトリックがいろいろ厳しいということは見聞きしてるけど、この映画の教会はただ偏狭で思い込みばかり強い。「島国根性」というものと似てる。目を開けずに、勝手に思い込んだことを恐れて相手を攻撃している。放っておくといつまでも内輪もめばかりする。そんな人たちとも上手くやっていかないと、狭い社会では生き延びられないんだろうな。

ジミーは「元活動家」としてアメリカからアイルランドに帰ってくる。多分最初から目を付けられている。アメリカは共産国ソ連と敵対する自由の国なのに、なにがそんなに気に入らないのか。プロテスタントが優勢の国だから、嫌いなものどうしくっつけて共産主義者もいるはずと思うのかな。

…ここでジミー・グラルトンを英語のWikipediaで調べてみたら、アメリカでは共産党員でアイルランドに戻ってからはIRAに加入してアジテートしていた、とあります。左派というより革命家だったんだろうか。排斥されて当然とは思わないけど、ダンスや会話を楽しむだけの優しいリーダーというこの映画のジミー像にも、もしかしたらバイアスがあるのかもな。(革命家のジミーの家庭的な面にあえて注目した、とかね)

映画って、見てると醜い巨悪に立ち向かう正義の味方みたいな気持ちになれていい気分だけど、そういう気持ちって集団イジメのいじめっ子と表裏一体だから、遠くの国の知らない人たちについて、無駄に偏った意見を持たないようにしたいもんだ…。