今村昌平のごく初期の作品。
冒頭、1958年の地方都市の、まだ戦後の雰囲気が残る駅前。集まってきたのは星形のバッヂを胸に付けた悪そうなやつら。新卒サラリーマンみたいな若造は小沢一郎だ。一番悪役ヅラしてるのは西村晃(若い頃のミシェル・ピコリと重なって見える)。武闘派は加藤武。何歳の時も同じ雰囲気の殿山泰司。電話ボックスで様子を見ている着物姿の色っぽい紅一点は、小川真由美かと思ったら渡辺美佐子じゃないか。この悪い女が最後まで、着物姿のまま、ひたすらファムファタールっぷりを展開するわけです。
その後の執拗に人間に迫る演出はまだなくて、熱いけどまだ比較的シンプルな演出。とにかく渡辺美佐子のよく働くファムファタールっぷりが一番の見どころでした。