映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

成瀬巳喜男監督「娘・妻・母」3249本目

1960年の作品。ジャケットは高峰秀子だけど、淡路恵子も原節子も草笛光子も中北千枝子も杉村春子も三益愛子も出てる。森雅之と宝田明も。原節子と高峰秀子と草笛光子が姉妹。中北千枝子がセールスして回ってるのは、77万円を信託すると6年5か月で100万になる「マネービル」。今の金額だと10倍くらいかな?(映画が3本立て55円だって。香典は500円なのか3000円なのか話してたりする)今では考えられない利率だけど。

原節子はいつもの鷹揚なほほえみを浮かべてるけど、夫と喧嘩したのよ、と、わりと下世話な世間話をずっとしている。姉の草笛光子の夫は今泉博。その上の姉が高峰秀子、その夫が森雅之(同監督の「浮雲」と違って結ばれてよかった)。その後すぐ原節子の夫がバス事故で即死して、36歳の彼女ができる仕事はないか、また結婚する相手はいないか、と家族会議のあげく、どれも無理だから引き取ろうという話になる。

その後、お金を貸していた工場主の親戚が夜逃げして、相続計画が全部くずれてしまう。誰がお母さんを引き取るだのなんの…。東京物語を思い出しますね。老母は”養老院”(すでにこのころ老人ホームと呼ばれつつある)に申し込みをしたけど、原節子は年上の大金持ち(※上原謙!)に嫁いで母を連れて行こうとするし、高峰秀子もうちで引き取るという。そして最後の場面で老母が公園で休んでいると、なんと通りすがりの老人、笠智衆が現れて仲良くなるかもしれない雰囲気。これって成瀬巳喜男から小津安二郎への何か?老母をみんなが受け入れるやさしい結末を作りたかった?

それにしてもこのテーマって普遍的。時代によって状況は変わるけど、これから世の中がよくなるとか、がんばれば裕福になれるとか思えないのが、今の時代の悲しいところだな…。

娘・妻・母

娘・妻・母

  • 三益愛子
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