映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

成瀬巳喜男監督「めし」3250本目

(U-NEXTでの公開期限が明日までなので、慌てて見てる)

そういえばこの映画も見てなかった。1951年作品、もちろん白黒。タイトルロールがすごいよ!原作:林芙美子、監修:川端康成ですもん。主演は上原謙と「当方専属第一回出演」の原節子。杉村春子に小林桂樹や大泉滉、山村聡や浦辺粂子(まだ若い)も出てる。物売りに来た女性は北林谷栄じゃないか?(ちょい役なのでノークレジットだけど)ちょっと擦れた若くはない女性、といったところで、まだおばさんでもありません。

上原謙の姪の役は島崎雪子。原節子(当時30歳)は結婚に疲れた役で、対照的に彼女は光り輝く美しさです。近所の小僧から原節子のいとこまで、誰もがひきつけられて振り回される。その中で、妹の夫、小林桂樹だけが彼女に正論だけで接する。

東京の実家に戻ってしばらく休む、原節子。「姉さんったら帰ってきてから寝てばかり」と言われるくらい、彼女は生活に疲れ切ってた。そこに夫が出張といって上京してくる。責めることもしない、質問ひとつしない。「いっしょに帰るか」いいこと何もなくても、今は夫が家族であって自分の居場所なのだと思い決めて、彼女は大阪へ戻る…。

「女の居場所は家庭である」と1950年なら読み解いただろうけど、今なら「帰るべき家は自分の本来の場所だ」と応用して見ればいいと思う。仕事をせずに家にいろ、ではなく、副業に精を出すくらいだったら本業に戻って精進しろ、とかね。

それが「めし」というタイトルの意味だと、私は思いたいです。

あ、しまった、私には本業も帰る家もなかった…

めし

めし

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