映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヴァレリア・パリシ 監督「プラド美術館 驚異のコレクション」3253本目

ジェレミー・アイアンズの語り、いいですね。(年取ったなぁ)「インランド・エンパイア」とか「ダメージ」も見てるけど「リスボンに誘われて」の彼がよくて、そのイメージでこの映画の語りも聞こえてきます。

スペインの絵画のイメージって、ピカソよりもベラスケスやゴヤ。基調が黒で、バチカンよりも「死」に近い荘厳なカトリック。(あくまでも私の勝手な印象)

絢爛豪華な王宮の内装を見ると、ポルトガルの大航海時代に作られた総タイル張りの宮殿を思い出すし、室内外にこれでもか、これでもかと並んだ彫刻を見るとローマ市街みたいだ。日本で普通に暮らしてると英米文化に触れることが多いので、ラテン民族/カトリック文化って新鮮で、すごくひきつけられます。ラテン文化と南アメリカ、アフリカから連れてこられた人たちの文化が溶け合ってきたラテンアメリカにもすごく惹かれるけど、オリジナルのスペインも気になる。(バルセロナしか行ったことない)2年前なら、この映画を見終わる前に「スペイン5泊7日激安フリーツアー」の検索を始めただろうな…。

イタリアの栄華は(これも私の勝手な印象)自己顕示欲の強さとか感じてしまうけど、スペイン文化には諦念を感じる。この映画でも何度か出てくる「死」のイメージ。(ポルトガルはもっと静謐なかんじ)これがなんともいえず惹きつけるんだ。首を落とされた聖人の死体がまるで宝物みたいに見えてくる魔法。

スペイン語もっと勉強して、簡単な会話くらいできるようになって、いつかスペインにゆっくり滞在してみたいな…