映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ゲレオン・ヴェツェル 監督「世界一美しい本を作る男 シュタイデルとの旅」3273本目

この分野に関しては、シュタイデルさんが特別だとは思えない…本を作るときに紙やインクにこだわるのって、日本では割と普通じゃないか?私が作ってたDVDでも(本じゃないけど)「特色」インクを何色まで使えるとか、透明スリーブと紙スリーブの二重構造にするとか…思う色がどうしても出なくて何度も色校を出しなおしたり…なんてことが毎回だった。デザイナー本人と同じくらい、細かい良い仕事をする印刷屋さんがあって、付録ステッカーもいろいろ提案してくれたり…いろんなものを作った。

装丁に凝った単行本も、本屋に行けばたくさんある。「紙鑑定士の事件ファイル」って本は、設定上、本文の紙質が途中で何回も変わる凝った本だった。装丁家として著名な人が何人もいる。お菓子のパッケージひとつ取っても、見惚れて買ってしまうようなものばかりがデパ地下に並んでる。…同じような日本版のドキュメンタリーをAmazonやNetflixの出資で作って全世界に流してほしいなぁ。

アメリカイギリスのペーパーバックはとてもつまらないデザインだし、単行本もあまり魅力を感じないものが多いから、ドイツのこの装丁家が際立つのかな。

日本のどんな職人にも装丁家にも、重厚なヨーロッパの伝統に基づく装丁の本を作ることはできないけど、「iDUBAI」なら日本で作った方が品格+キッチュ感のあるものが作れる気がするのでした。