映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

パオ・チョニン・ドルジ 監督「ブータン 山の教室」3281本目

17年ほど前にブータンに旅行したときのガイドの名前がウゲンさんだった。そのときに仲良くなった男の子たちの名前はカルマくんとドルジくんだったけど、一度連絡を絶ってしまうと、同じ名前の人が多すぎて、多分もう彼らとSNS上でつながることはできないんだろうなーと思う。

それはさておき。その後ブータンは国王が代替わりし、都会の若者たちは民族衣装を着ないで出歩くようになり、かなり変化があったらしい。といっても観光客が寺院をめぐって山道をバスで行くのはたぶん変わってないだろう。当時よりも都会と田舎のギャップが大きくなったんだろうな、都会の若者から見ると。ブータンはこんな映画が作られる国になり、都会っ子のウゲン君は観光客の自分に重なってくる。

彼が人口3人の村で泊めてもらった家で、ご飯をよそってもらうカラフルな竹かごは、今うちのテーブルの上でみかんを盛っているのと同じ。

見慣れたテーマの作品なんだけど、ペムザムちゃんのあまりに純真な笑顔に胸を打たれてしまう。こんな桃源郷を離れてシドニーなんて…と思う私は、じゃあ親の実家のある山奥の村に引っ越せと言われたらどうするのか。

17年前、ブータンの言葉ゾンカ語の教科書がまだないから授業は全部英語で、だからブータンの人たちは、赤ちゃん背負ってるお母さんも子供もみんな英語が上手に話せた。この映画だけでは、都市の学校での教育がどう変わったのかはわからなかったけど、もう行くことはないと思ってたブータンに、いつかまた行ってみたいなと思ってしまいました…。

ブータン 山の教室(字幕版)

ブータン 山の教室(字幕版)

  • シェラップ・ドルジ
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