映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

岩井俊二監督「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」3287本目

岩井俊二監督の作品はけっこう見たつもりだったけど、これは今さらの初見。テレビ用に作られたから、アニメが公開される前はソフト化されてなかった?とか?

冒頭の先生役の麻木久仁子が若い。主人公の奥菜恵は、かなり小さいころから出てた記憶があるからこんな幼い少女でも意外と驚きはないな。特に大人びてるわけではないのに、周囲の男の子たちがあまりにもコドモコドモしてるので、ひときわ大人に見える。突然のお別れのことをまだ知らない男の子たちの無邪気さ…これは数十年後にこのときを思い出す、未来の彼らが思い浮かべるビジョンなんだよな。

タイトルが打ち上げ花火なのに、結局誰もちゃんと見なかったな。だから最後の数発は強烈。(激しく棒読みの花火師は酒井敏也だった)

夏祭りも花火も、なんだか胸がわさわさする思い出だな。このくらいの年齢だと女の子のほうが圧倒的に大人だから、女の子側から見るともっとおませな思い出になるはず。女性監督はちょっとショッキングなくらい鋭い監督が目立つけど、抒情的でロマンチックな作品を作る人もいるのかな。きっと私が知らないだけなんだろうな…。