シンプルだけどよく作られた映画だなぁ。子どもたちの憧れやズルさといった心の動きに自然に共感できる一方、「悪いことはやっぱりそれなりの結果しか生まない」という諦念が、逆の見方をすれば子どもの道徳教材にも使えそうだったりして。
たくさん嘘をついて稼いだお金で夢をかなえようとするこの子は悪い子だけど、貧しさから抜け出せるのはこんなバイタリティのある子なんじゃないか、とも思う。やたら悲しくて切ない音楽が流れ続けてるのも、この子に対する同情を募らせてる。監督は一人ひとりの子どもの良しあしじゃなくて、不自由な社会や貧しさの中でうまく立ち回ったつもりでも失敗する人間の生命力やおろかさ、運命をあきらめて受け入れるしかないことを描こうとしたんじゃないかな。
イランのニュー・シネマだったのでは…。