これおととし見たみたいだけど全然覚えてないや。ポスタービジュアルが強烈。横尾忠則?沢田研二を主役に起用したのは英断だなぁ、これほど品位のある主役でなければ、もっとキッチュな安っぽい作品になってたかも。
皇居前や国会議事堂でゲリラ撮影をしたとか、面白いエピソードも豊富。原案のレナード・シュナイダーのことは知らなかったけど、こうなったら「ザ・ヤクザ」も見てみなければ。
プルトニウムを扱うときの”厳重な装備”が、今ならコロナ対策でこれより気密性の高い恰好をしているぞと言いたくなるような、およそ放射能を防げそうにない装束だ。私が最初に働いた新宿三角ビルが街頭ラジオの舞台。この頃はなんとかヒルズみたいな最先端の町だったんだろうな。
いろいろ無茶の多い筋立てだけど、俳優たちの魅力がすごい。沢田研二ってほんとにいい演技をする人なんだな。キムタクみたいに演技が大きすぎなくて、スター性を消して怪しさも悪さも自然だ。乱れる演技も、なんというか、汚くかつ美しい。菅原文太もここではヤクザじゃなくて真摯な刑事だし、池上季実子は育ちがよくて奔放なお嬢さんだ。この3人がとても素敵。
この映画を撮影してた時期(1979年4月~8月)に「OH!ギャル」が発売されたりしてて、まさにソロ歌手としての全盛期です。よく出たなぁ。でもこの怪作とって良かったと思う…世をはかなんだ若者が起こす事件が、「復讐するは我にあり」のナイフや拳銃から爆弾に至る変化がこの間にあって、そこから今へと、犯罪形態は変化していく。FUKASEが「キャラクター」の悪役を演じる、なんてのもこの映画のキャスティングに近い気がします。あの映画も見てみなければ…。