映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

石井裕也監督「茜色に焼かれる」3310本目

<一部ネタバレあります>

またオダギリジョー出てる。(朝ドラ、大豆田とわ子を見たばかり)と思ったらすぐ死んでしまった。

尾野真千子は常にすごく良いんだけど、息子役の和田庵も良いですね。演技かたいけど、けなげでした。親子役でのキネマ旬報女優賞と新人賞受賞、おめでとうございます。風俗での同僚を演じた片山友希もせつなくてよかった。こういう、主役の同僚や友達役として死んでいく人って…死で花を添えるというんだろうか。ちょっと弱くてちょっと運が悪くて、金子みすずなら目が行ってしまって逸らせなくなりそうな人たち。彼ら彼女たちが主役になることもあるんだろうか。と筋と関係なくふと思った。

石井裕也監督の作品は「川の底からこんにちわ」が一番好きで、その後の作品もちょこちょこ見てるけど、どこかみんな堅い感じがして、私とぴったり合う!という感じではないんだよな。

この間読んだ「52ヘルツのくじらたち」もだけど、読んでる人見てる人の大多数が普通の人のはずなのに、自分たちがヤングケアラーだったり風俗で働いたりしてるような気持ちになって、世の中に批判的なことを言い出したりするのがすごく苦手なんだ。彼らが簡単に救われることはないし、自分たちにできることはすぐそばにいる誰かが困っていたら手を差し伸べることなのに、本を読んだり映画を見たりすることでカタルシスを得てしまうのが苦手で、インスタントカタルシスを与えてくれる作品が苦手。作品が救うのは映画で主役を張ってる彼らじゃなくて見ている人たちの「申し訳ない気持ち」だけだから…。ひねくれた見方って思われるのかな。率直な感想を言葉にしようとするけど難しい。

茜色に焼かれる

茜色に焼かれる

  • 尾野真千子
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