映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ウディ・ハレルソン監督「ロスト・イン・ロンドン」3317本目

一発撮りの生中継映画か。大変に決まってるけど、前人未到のことに挑戦するのはどんなことでも面白そうです。ウディ・ハレルソンってなぜか「悪い警官」ってイメージがあって、出てないのにツイン・ピークス警察にいたような二面性のある人って思い込んでました。だから彼がやらかすことには期待しています。初監督でこんな実験をしちゃうなんて…ほぼ上田慎一郎ですね。

生放送映画って、舞台のライブビューイングが外に出たようなものか、スポーツ中継のTV番組や「紅白歌合戦」ならほとんど生中継だ(カメラの数は多いけど)。面倒だろうけど日本でもやってやれないことはないはず…。

ロンドンの多くの人たちはハレルソンをアレンと間違えてるけど、本人もいちいち否定しない。どこかで知り合った誰かと飲みに行くという、ちょっと怖いけどわりとありがちな状況、外国だとますます怖いけど、自分が巻き込まれてるようなリアルな映像。ソフィア・コッポラ「ロスト・イン・トランスレーション」とかもこんな感じだった。時間が飛ぶのは夜の12時に同じ監房のウィリー・ネルソンの歌を聴きながら寝たら次の場面は朝の7時、という場面だけか。

何度も何度も「明日の朝、息子を魔法使いの少年に連れていく」と言うのはセリフでははっきりハリー・ポッターとかダンブルドアとか言ってる。名前に言及することまで権利問題が出てくるんだろうか。やりすぎな感じするけど実際トラブルになってるのかなー…と思ったらダニエル・ラドクリフ出演してるじゃないですか。最後に出てくるところがいいです。

こういう作品って、撮り直しもできないし、完成度の面で時間をかけて作りこんだものには当然かなわないので、巻き込まれ感を最大に感じるのがお得なんじゃないかな。上田慎一郎監督にぜひ日本バージョンを撮ってみてほしいです。