映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

エメラルド・フェネル 監督「プロミシング・ヤング・ウーマン」3322本目

<結末に若干触れてるかんじです>

冒頭から音楽と映像がカッコいい。タクシーの中で流れてるのがスパイス・ガールズ「2 Become 1」で、1990年代のイギリスなのかなと思う。キャリー・マリガンの清楚で芯が強い感じが、のっけからすごく良いですね。私が女性だからそう感じるのかな?

カフェでコーヒーにつばを吐いたのにデートしようと言い出す男。この場面も強烈。いちいち皮肉がキツ過ぎるこの感じ…モンティ・パイソンなのか?モンティ・パイソンには女性のクリエイターがいなかったのが今この瞬間、残念な気がする。この作品の人々はウディ・アレンのように饒舌だけど、弱い男に優しくする女が出てこないところが違う。

途中から「由宇子の天秤」みたいな結末を想像してしまったけど、そんなもんじゃなかった!

この映画も「ラストナイト・イン・ソーホー」もだけど、女性たちはタダでは復讐を遂げさせてもらえない。自虐的なのかと思うくらい、相手には途中から手を緩めてやり、自分が破滅することは厭わない。そこが興味深いです。

女性が、女性であることの積年の恨みつらみを男性にぶつける映画って最近多いな。ブラック・エクスプロテイション・ムービーの時代みたいなものかな。いや、「ゲット・アウト」まで時間がかかったというべきか?でも女性たちの怒りの方が爆発的だ。

この映画を見てスカッとした女性は私以外にも大勢いるだろうし、肝を冷やしたり反感を持ったりした男性も多いんだろうな。これからほかの方々の感想を読むのが楽しみ…。