映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

リサ・バロス・ディーサ監督「グッド・ヴァイブレーションズ」3327本目

タイトルを見るとビーチ・ボーイズの映画かなと思うけど、違うのだ。「マイアミ・ショーバンド」の虐殺事件のあと、どのバンドのツアーも北アイルランドを避けて通るようになってしまい、そこで生まれたアイリッシュ・パンクを盛り立てるレコード・レーベルを作った男がいた、それが主人公のテリー・フーリー。…という、パンクの中でもかなりニッチなアイルランドものが話題なので、日本の一般市民にはハードルが高い。マイアミ・ショーバンド事件は「Remaster」のドキュメンタリーで見て背筋が凍りましたが、まだまだ見た人は少ないだろうし。

私も、この映画を見てピンと来る場面は少なかったけど、彼が売り出したアンダートーンズの「ティーネイジ・キックス」は持ってたな。なんだっけ、The Greatest Punk Album Vol. 1&2みたいなオムニバス盤に入ってた。(売っちゃったのでもう手元にはない)リッチ・キッズの名前も出てたな。赤いカラー・レコードのシングルを持ってた。ピストルズのグレン・マトロック(今はロマンスグレーになってやがる)とウルトラヴォックスのミッジ・ユーロが組んだのに、アイドルみたいにポップなバンドだった。

でも、そういう消滅しかかった記憶を一生懸命たどらないと追えない遠くのお話なの、テリーに共感するところまでは行けなかったな。

これはやっぱり、いつか北アイルランドに行ってもっとよく理解しなくちゃ!(ずっと行きたいと思っている)