イヴ・サンローランを描いた映画はドキュメンタリーを含めて何本か見た気がするけど、これは見てなかった。「たかが世界の終わり」で惚れそうになったギャスパー・ウリエルが亡くなったという話を聞いたので、彼の軌跡として見てみる。
若き日のイヴを演じるに足りる美しさ。そして晩年の彼を演じるのが、ヘルムート・バーガーなんて!すごい、二大ヨーロピアン美形対決か。なんとなく風貌が若いころの彼とは変わってしまった気もするけど、本物の彼がそこにいるだけでなんだか胸が詰まるな。
その一方、ジェレミー・レニエとジェレミー・レナーを混同してしまったんだけど、名前以上に本人たちも似てません?(私だけか)
全体的に、デザイナーや画家をフィーチャーしたアート系のドキュメンタリーみたいに画面が常に美しいし、”イメージ”みたいな場面も多い。その分、筋が頭に入ってこない。無駄なくらい美しい。でもイヴがクローゼットから出てきてピエールのベッドに沈む場面とか、イヤらしすぎるけど綺麗。怪しげなダンスクラブの真っ赤な楽屋とか、夜の街角に立つ男装の女性に裸の女性が寄り添うのとか。
そして、露悪的なくらい彼の堕落が描かれます。映画が耽美的なので、堕ちていくデザイナーも美しい、と受け取る。
ただ、ギャスパー・ウリエルは、美しいけどサンローランに似せようとしてメイクが濃くて、ちょっと微妙だなと思いました。