映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ポン・ジュノ監督「ほえる犬は噛まない」3334本目

ペ・ドゥナの出演作品を見るのは久しぶり。どこか可愛くて存在感が強くて、好きだな。この作品は「グエムル」や「リンダリンダリンダ」よりもずっと前だ。彼女には”泣き寝入り”とか諦める役柄は似合わない。青筋立ててがんばるのがペ・ドゥナ。

可愛いワンコたちをまさか…という部分は、おとぎ話とか漫才のネタの類という意識で見ていたので、リアルに響かずに済みました。(私の場合、猫だとこうはいかない、家族として暮らしてる動物だと辛すぎるだろうな)

デビュー作にしてすでに、地下室で暮らす非合法の人たち、学校を出たけど仕事がない高学歴の青年が登場してて、これって一番「パラサイト」に近い作品なんじゃないか?

一番大きな違いは、ソン・ガンホが出てないことだな。私は彼をどうもシリアスにしか見られない。この映画は全体がきっついギャグだと思って見られるのに、ソン・ガンホが出てると「韓国の良心」みたいで本当に申し訳ないような、気の毒な気持ちになってしまう。ポン・ジュノ監督作品はブラック・コメディとして見るのが一番面白いのに、「パラサイト」を今一つ高い評価ができなかったのは、私の中の彼のイメージが大きかったんだ、と今気づきました。うーむ、これ見たおかげで気づいたわ。

ポン・ジュノ監督には、これからもギャグきつすぎる作品を見せてほしいです、がんばって受け止めて笑い飛ばすので。(でも猫をいじめる作品だけは止めて)