映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クリス・マルケル 監督「ラ・ジュテ」3337本目

1958年にフランスで作られた近未来SFで、わずか28分の短編とな。メトロポリスみたい?

動画じゃなくて静止画?音の出る絵本?PC黎明期にサウンドノベルって言ってたやつみたいだな。(…とほぼ同じことが解説に書いてある)つかみどころのない、ふわふわと幻覚剤でも摂取して夢を見ているような雰囲気は「去年マリエンバートで」も思い出します。

監督はアラン・レネの助監督とか、いろいろやってた人なんだな。テリー・ギリアムの「12モンキーズ」は前に見たけど、こんなお話だっけ。「サウンドノベル」的手法だと、気になったところの多くが、解説されずに流れていく。ずっともやもやしたまま見る。気になったまま終わる。意味はわかったような、わからないような、不思議な味わい。世界観に入っていくのが難しくて、もう一度見る。

あらすじとしては<ネタバレあります>第三次大戦でパリの街が破壊された近未来、収容者の中から選ばれた男が過去へ送られる。写真展を見に来てるような、美しい廃墟の写真が次々にめくられる。つまり、近未来で戦争による廃墟が舞台で、男が過去に送られて命を落とす、それが少年の頃に見た光景だとそのとき気づく、ということですね。それって「TENET」にも片鱗があるなぁ。そして、彼を操る丸メガネの男、似た人を「12モンキーズ」で見たような気がする。すごく怪しくて気になるもんな…。

1コマ1コマの間の欠落が、イマジネーション豊かな人にはたまらなく想像力を搔き立てるんだな、きっと。2回目でちょっとこの世界に入っていけたような気がしました。

「12モンキーズ」また見てみます。

ラ・ジュテ (字幕版)

ラ・ジュテ (字幕版)

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