映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

大庭秀雄 監督「君の名は 第二部」3340本目

(第二部の冒頭しばらく、第一部のダイジェストが流れる)

真知子は春樹のことで動揺するあまり、自分を助けてくれている、まったく愛してない浜口と結婚して、姑を含む家の問題で悩んでいた。

女は従順であることが当たり前だったので、愛してない男を選んだのは「計算だ」という見方もなければ、形だけ結婚して愛を貫いた「むずかしい女」という批評もなかったんじゃないかな。今なら、巻き込まれた浜口もいい迷惑だ、愛し続けるならそいつと結婚しろよ、という見方も強そう。しかしここから、妊娠と流産、姑の執拗なイジメと続いて、真知子=悲劇のヒロイン像が強調されます。

一方の春樹は北海道でアイヌ娘(こんな話し方するのか?薄着すぎないか?タヒチか?という雰囲気の北原三枝)に迫られている。世紀の美男子なので、モテまくっても説得力がある。

東京では野添ひとみ・小林トシ子のところに淡島千景が月丘夢路(春樹の姉)を連れてくる。彼女を脅すてるのは、三井弘次じゃないか…。(喜んでる)この映画を見た一般大衆は、さぞかしこの男を憎んだことだろうな。振り切った悪党ぶり、大好きです。

北海道で結婚を決めた春樹のところを訪ねてくる真知子。心を決めるときは迷うけど、行動力が迅速。うーむ、戦後のジェットコースター・ムービー…。この「北海道編」あたりから、もういいよ感が出てきますね…。取ってつけたようなエスニック感もあり、ハリウッドの南海大冒険ムービーのような趣もあります。まさに流行りドラマ。1日30分のラジオドラマがベースなので、毎回次を楽しみにさせる仕組みを仕込んでたんだな(だんだん疲れてきてる)

30分×98回、オリジナルは48時間もあったことを考えると、「わずか」6時間の映画にするために詰め込んではしょって大忙しになった点もあったのでしょう。しかしこんなに日本全国行ってたら、最初のほうの登場人物とかエピソードって忘れてしまいそう。

笠智衆が「生活」を「せいくゎつ」って発音してたのが新鮮でした!