映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

大庭秀雄 監督「君の名は 第三部」3341本目

<最初から最後までストーリーをかなり記載しています>

戦後のスクリューボール・ドラマは、第三部ではいよいよ泥沼の様相を呈します。(第二部で北海道の若い二人を巻き込んで死なせてしまったことが最大の汚点という気もするけど)二人の関係性においては、今まで関係者間の気持ちの問題だったことが、訴え・訴えられるという法廷闘争を経て、浜口がやっと離婚を決意。そうしたところが、再婚相手候補が”いまどきの”ドライな女性で、姑とは別居が条件!と宣言する。それで真知子をいじめたことを後悔する姑。真知子を追って、こんどは姑自身が九州へ飛びます。で、寝込む。寝込む姑を看護している真知子に、春樹が「海外へ行くので」とあいさつしに飛んでくる。もう姑は誤解せず真知子が今まで誠心誠意尽くしてくれたことに感謝する。(善人になった!)

真知子が春樹と離婚できるように、偽装結婚をしようと言ってくる男(大坂史郎)。「偽装なんて…いけませんわ…」、全てを知って真知子をゆるし、離婚届に判を押して彼女のもとへやってくる浜口。しかし真知子は心労や無理がたたって寝込んでいる。浜口の誠意に感謝し「私のほうこそ…」と真知子。自分はもう長くないのではないかと思って、思い出の数寄屋橋を薄着で訪れ、入院するが容体はよくない。

綾は春樹の今の勤め先の上司を接待して、なんとか彼を帰国させられないかと直談判。それが功を奏して、春樹は帰国。二人は真知子の病室でやっと見つめ合い、「これからはずっと一緒だよ」…。

最後まで書いてしまった。KINENOTEのあらすじを読んだときは、真知子は美しく死ぬのかと思ったけど、「ほら、夜が明けるよ」というせりふもあり、未来は明るいことが示唆されていました。死ぬほうが美しくて泣けるかもしれないけど、3本見て最後が不幸だとだいぶやりきれないので、ハッピー示唆エンディングでちょっとほっとしました。

途中から、これって韓流ドラマみたいだなと思った…「冬のソナタ」の時代の。淀川長春が「キレイキレイ」と呼ぶ、一点の曇りもなく美しい主人公の男女の心、次々と理不尽に、ときにあまりにも偶然が多く、無理筋に降りかかる不幸。今の日本でもそういうドラマが常時作られてる。人間っていつの時代も同じなんだな~。

ただ、悪人だった人が改心して味方になるという成り行きは最近少ない気がする。正義の人が悪人に目にもの見せてやる、という”復讐の快感”を「ハゲタカ」とかで覚えてしまって、ワンピースでも鬼滅でも善と悪が完全対決するものの方が最近は多いようで。平和を心の底でみんなが願っていた戦後と、平和ぼけともいわれる今と、そこが違うような気がします。

だいぶ本筋から離れてしまったけど、「敵が改心して味方になるストーリー」もっと作ってほしいなと思っている私なのでした。。