映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ホウ・シャオシェン監督「憂鬱な楽園」3346本目

1996年、このころ台湾オフィスの同僚たちと集まることがよくあったけど、当時の台湾の女の子はちょっとパーマきつめで、日本の女の子たちと一見しただけで区別がついてた。区別がつかなくなったのは、最後に仕事で行った…あれは何年頃だろう?とうとう台北にスタバができたの!って言ってた頃か。

と、関係ないことを思い出してしまいましたが、それくらいこの映画のなかの台湾には「昭和」あるいは20世紀がたちこめてる。パンチパーマこそしてないけど、背中から腕まで広がる刺青は日本のやくざと同じスタイル。それも、組織的犯罪グループというより、「ちんぴら」という感じが強い。

踊れそうなリズムにデスメタルみたいなボーカルが乗っかった、ふしぎとカッコいい音楽と、台湾の地方のちんぴら。彼らがバイクで流す道沿いには南方らしい植物が茂ってて面白い。

筋があまり見えてこない(太い幹みたいなものはない)けど、南国昭和やくざの空気感がちょっとよかったです。