映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ワン・シャオシュアイ 監督「在りし日の歌」3353本目

最後のほうに出てきた、生き残ったほうのハオハオ少年とその家族の豊かな生活ぶりを見て、そうだよ今の中国のイメージはこっちに近い、と思い出した。それくらいかけ離れた、大昔みたいな地味で地味で地味な、シンシンの両親の暮らし。

父親の人の好さと、母親のたおやかな優しさを見ていると、こういう人たちこそ、幸せになるべき人たちだ、という気がする。でも神様はこの人たちから奪って、他の人たちに与えてしまう。

最後に少し救いがあるけど、二人が老人になるまでの年月を考えると、とてもハッピーエンドとは呼べない。でも、彼らに刻まれたシワがなんとも美しくて、彼らが汚れずにそこまで生きてきたことに胸を打たれてしまう。誰かが見てるからでもなく、見返りがなくてもそうやって生きてる人たちってなんてすごいんだろう。中国っていう国が好きでも嫌いでも、ほかにもたとえばロシアが好きでも嫌いでも、大きな国の端っこにはこういう人たちが何万人も暮らしてるんだよなぁ。

最後までまあまあ第三者的な気持ちで見ていたのに、エンドロールが始まってしばらくしてから泣けてきた。こういう映画ってあるよな。。

在りし日の歌

在りし日の歌

  • ワン・ジンチュン
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