ティモシー・シャラメはこの映画でも純粋でデリケートな王子様だ。彼をヒーローとして物語を見せるのって、少年ジャンプ的な感覚だ。強くなる素質が、なさそうな少年をあえて選んでる。そう考えると、レベッカ・ファーガソンの母親像もオスカー・アイザックの父親像もジョシュ・ブローリンもハビエル・バルデムもゼンデイヤもステラン・スカルスガルドもシャーロット・ランプリングもチャン・チェンも、過去の出演作品の役柄をなぞっているというより、マンガ的なキャラクター設定じゃない?ヴィルヌーヴ監督作品にしては、ちょっと極端でちょっと美化されていて、かなりファンタジックという意味で。
感想をひとことで言うと、「リンチのDUNEともホドロフスキーのDUNEとも全然違う」。砂丘が舞台でアトレイデスとハルコンネンが出てくる以外に共通点が思い出せない。…改めて、早送りしながらリンチ版を見てると、みにくい、というか”異形のもの”が頻出している(リンチだから)。カイル・マクラクランが、純真な少年から悪もたしなむ大人(と感じるのはリンチだから)へ成長していった後半が、ヴィルヌーヴ版の「2」の展開なんだろうけど、ここをどう料理するんだろう。ヴィルヌーヴ版は全編が砂丘だということと、とにかく美しく控えめで品があるのが特徴でしょうか。人間を過度に変形していないのでリアルに感じる。やっぱり主役の違いは大きい。ティモシー・シャラメの雄々しい部分が「2」で初めて開花する予定だと思われるので、かなり楽しみになってきました。