映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヴィム・ヴェンダース監督「ベルリンのリュミエール」3361本目

どこがドキュメンタリーなんだろう?と思って見てたけど、途中から画面が白黒からカラーになった。これって、先に”再現ドラマ”を流して、途中から初めて本物が登場するっていう構成なんだな。(だって、おばあさんとなった娘さんが語る前で話を聞いてるのは、若かりし頃のヴェンダース監督ご本人だもん)…途中から、現在の画面が白黒になって、監督とおばあさんの間に当時の彼女の姿が登場するのも斬新。

リュミエール兄弟ってフランス人だけど、おばあさんもドイツ人のヴェンダース監督もドイツ語で話してる。第一タイトルが”ベルリンの”リュミエールだし上映していた”ヴィンターガルテン”はベルリンの劇場。でもWikipediaにはフランス国外での活動の詳細は何も載ってない。なんでおばあさんの名前がドイツ風の「ゲルトルート」なんだ?

…ここまで見てWikipediaで調べてもわからなかったけど、英語Wikiなどを見てやっと気づいた。この映画がリュミエール兄弟ではなく、少し遅れてドイツで映画技術を発明したスクラダノフスキー兄弟に関するものだということに…。(U-NEXTの解説にはちゃんと書いてあったけど)

だからこういう、混同を生じさせる上、ご本人たちに失礼な邦題を付けるなと言うのに。(cf 「私たちのアポロ計画」→「ドリーム」事件)「ベルリン版リュミエール」と言いたかったんだろうけど、「ベルリン時代のリュミエール」を取り上げた作品かと思ったじゃないですか。

この作品中に、当時撮影された動画そのものは何も含まれていなくて、似せて作られた今の技術のものだけなのは残念だなと思ってググったら、英語のWikipediaの「Max Skladanowsky」のページからいくつか本物にリンクしていました。ボクシングも「蛇の踊り」も見られましたよ!