映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ピーター・パーディーニ 監督「ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ ナウ・モア・ザン・エヴァー」3388本目

公開時に見そびれた、こういうバンドもののドキュメンタリーがたくさん見られるのも、VODのいいところ。DVD化されなかったものも多くて、これもずっと「見たい」に入れたままになってました。

シカゴ好きなんですよ。洋楽を初めて聞くようになった小学生のころに、「愛ある別れ」とか「サタデー・イン・ザ・パーク」とか好きだった。にぎやかで明るいブラス・ロックなんだけど、メロディラインが優しくて、なんともいえず気持ちが高まる。私の一番好きな時代のアメリカの典型、というイメージ。アルバムは何枚か買ったけピーター・セテラとテリー・キャスくしか知らないな、しかも顔を見ても誰が誰だかわからない。音楽は今聴いてもかなりいいなぁ。ジャニス・ジョプリンやジミヘンとツアーしてたとか、「シカゴ」って名前なのに西海岸のあらゆる平和集会で演奏してたとか、彼らのことって何も知らなかった。長年大好きなバンドなのに、まるで知らない人たちのドキュメンタリーを見てるみたい。

シカゴには確かに長い曲が多い。でも、インプロビゼーションみたいなプログレみたいなセクションが終わると、なんかカラっと明るいサビの部分に戻ってくるのが、なんともほっとする。良い子の頃に聞いてた良い音楽なのだ。

それにしてもメンバーが若い。今から6年前の映画といっても、みんな70歳前後だったわけで、スパークス兄弟の現役ぶりにも驚くけど、このバンドのメンバーもすごく健康的。ドラッグなんてやらないまま来たのかと思ってたのに、「平和集会」あたりから疑わしいなと思ってたら、やっぱり”乱痴気騒ぎ”だったのか…。

それと、ピーター・セテラ中心の甘ったるい曲ばかりになった頃のことも思い出しました。確かに、私にもちょっと甘すぎると思えた時期がありました。彼も、オリジナルメンバーのドラマーもグループを追われ、それでも50年間やってきたってすごいな。なんていう生命力の強さ。日本だったらぜったいクビにしないで何か違う形で存続しようとしたんじゃないかな。(そして解散に追い込まれたりするのかもしれない)

とにかく、やっと見られて本当にうれしかった。