映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャック・ドゥミ監督「ベルサイユのばら」3420本目

今これ見る人いないだろうな・・・

「敬愛するアニエス・ヴァルダ&ジャック・ドゥミ監督作品ぜんぶ見る」の続きで、DVDでしか見られないものをまとめてTSUTAYAで借りてきました。

英語のタイトルは「Lady Oscar」。ベルサイユとか薔薇とか言われてもフランス人には趣旨がわからないだろうからな。池田理代子、そういえば「世界で一番美しい少年」に出てましたね。日本人にバブルな金を持たせると、こういうもの作るから・・あ、すみません口が・・・

オスカルを演じてるカトリーナ・マッコール、美しいけど”男装の麗人”感はないですね。天海祐希とか珠城りょうみたいな、女子高の後輩から告白されそうな人でないと・・・基本、彼女が女性であることは周囲には知られてなかったという設定だったはず。マリー・アントワネットを演じたクリスティーナ・ボーム、少しカトリーヌ・ドヌーヴを思い出す。アンドレを演じたバリー・ストークスは、優しく野性的な男のイメージで合ってるんじゃないかな。若きランベール・ウィルソンも、魚を捕まえるのなんのとオスカルをからかう兵隊の役で出てた。

名前をこうやって並べるだけで、フランス人がいないことがわかる。やたら豪華絢爛な衣装で英語を話すヨーロッパ各国の俳優たち。カメラの遠さや美術の美麗さ、感情を入れすぎない演技とかはまさにジャック・ドゥミだ。美しく可憐な女性がかならずしもハッピー・エンドを迎えないところも。シェルブール、ロシュフォール、ロバと王女、とちょっとばかり勢いを失いつつあった流れの先にこの映画がある。

でも。フランスでお菓子を買うとして、お菓子は可愛いけど箱が日本の「可愛い」とちょっと違う、ということがありうる。この映画の絢爛豪華なドレスは、いまひとつ池田理代子の読者が求める”フランス”ではない。(だってドゥミのほうが本物だから)花で埋め尽くすような、むせかえるような色気を期待するなら、ソフィア・コッポラや蜷川実花に撮ってもらえばいいのだ(当時まだ子どもだよ)。むしろ市川崑に細雪の感じで撮ってもらえたらすごく美しい作品になって日本のファンが喜んだかも・・・うーむ、妄想が止まらない・・・

予想にたがわず、どうも物足りない作品だったな。いいところもあるんだけど、惜しかった。