映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジェラール・クラウジック 監督「WASABI」3432本目

たまたまテレビで見た。そういえばこんな映画あった。

全体的に、おもしろくも新しくもないのが残念。ちっともリュック・ベッソンっぽくない。彼が自分で「レオン」の焼き直し版を作りたいと思うわけがない。日本の誰かが「お金を出すからこの女の子で『レオン』みたいな映画作ってよ。PUFFYの歌もどっかで流して」って依頼したのが見え見えだ。

当時の広末涼子の人気はすごかった。すごく爽やかで可愛くて、男性にも女性にも、大人にも子供にも人気があった。大学に入ったけど群衆に囲まれて通えなかったって話とか覚えてる。・・・そんな、芸能界にもてはやされて、もてあそばれてた若い女性の姿がこの映画に残ってる、という気がする。彼女の役柄は「母を失った悲しみをこらえて明るくふるまう女性」だと思うけど、自分の芯を見つめて役作りをして、そういう機微を表現する余裕もなく、ただくるくる回ってるみたいだ。ほかの映画では胸に来る演技をしてる人なのに。

ジャン・レノのダンス・ダンス・レボリューション(笑)も、皿に山盛りのWASABIをクリームみたいに食べるのも、銃で人を撃っても捕まらない東京も、全員がフランス語に堪能であるかのような空港も(英語だってこれほど喋れる人は多くないのに)、全体が面白かったり斬新だったりしたら、もっと楽しいんだけどね。