映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

パブロ・ベルヘル 監督「ブランカニエベス」3444本目

<ネタバレあります>

ブランカニエベスはスペイン語の「Snow White」=白雪姫か。スペイン語の響きは魅力的だけど、どういう映画かわからずうっかり見逃してしまいそうだったので、邦題は「白雪姫とこびと闘牛士団」とかのほうがいいような気もします。

スペイン語、カトリック教会、コントラストの強い白黒、と来ると大好きなルイス・ブニュエルの作品を思い出します。出演者たちの容貌も、みんな濃い。喜びと怒り、生と死が至るところにある。私には多分理解も共感もできないんだろうけど、彼らの異世界にすごく惹きつけられます。

ストーリーは白雪姫に沿ってるのに、スペインならではの闘牛士の父娘と極悪な継母という設定が面白い。それに「小人」がおとぎ話じゃなく現実の興行の小人たちで、最後は眠れる美女となったブランカニエベスも見世物小屋のテントに収まっているというブラックさ。優しく彼女の面倒を見ている小人のキスで目覚めず、一般客の男性のキスで一瞬目を開けるという成り行きもブラック。彼女を本当に愛している人は他にはいないのに・・・。スペインでは、単純なハッピーエンドより、ひねった切ない結末のほうが人気なのかな。

ともかく、なかなか独特の美しさとひねりのあるストーリーで面白かったです。

ブランカニエベス(字幕版)

ブランカニエベス(字幕版)

  • マカレナ・ガルシア
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